2014年8月17日日曜日

バーナード嬢曰く。

バーナード嬢曰く。グレッグ・イーガンのコラムより抜粋

"『万物理論』という長編に、自発的自閉症協会のロークという人物が出てくる。
「愛情とは、自分が愛している人々を、自分自身を理解するのとほとんど同じかたちで理解できるという信念にほかならず、その信念をもてば脳から快楽という報酬をもらえるわけです」
 愛情とは、他者理解という錯覚に脳が快楽を与えることで成立する、自己欺瞞能力であるとロークは言う。
部分的自閉症である彼は、愛情への飢えがあって報酬がない。移植で治せるのだけど、欺瞞であるとわかってしまっているので、いっそ脳の飢えを与える部分も切除して、完全自閉症になることを求めている。考え方によってはこれも「治療」だ。身も蓋もない話だが、「人間性ってなんだ?」と考えさせられる。"